スポンサーサイト

  • 2012.10.13 Saturday
  • -
  • -
  • -
  • by スポンサードリンク

一定期間更新がないため広告を表示しています


空戦

 
前回までのあらすじ リリアン対抗戦 しまこ○─つかさ× 
                        しまこ×─みゆき○
                       よしの○─みゆき×
                       よしの ─ かがみ いまここ! new





かがみ一ラウンド先取。
確かに、ジャンプ攻撃をガードさせ、バーニングで裏周りすることは可能だ。だがそのタイミングは非常にシビアだった。セイスモのウルコン追い討ちもそうだ。そして、きわめてシビアな連携の最高峰をこう呼ぶ。


 猶予0フレーム、と。


通常のプレイヤーでは安定しない連携の世界で格闘ゲームプレイヤー達は戦う。60分の1秒をシビアに体感する、猶予0フレーム戦域、それが、格闘ゲームの戦場だ。


由乃は目の前の相手に不気味なものを感じる、かがみには、文字とおりディスプレイしか見えていない、どんな優秀なプレイヤーでも、外の様子を少しは見ている筈だ。だが、かがみは違う。それに、そのプレイも、由乃の存在を無視したものだった。
 
 かがみにとって、画面の向こうに相手がいるかいないかは関係ないのだ。そう、人読み、などというものは存在しない。将棋のプロは盤面を見せられ、次の一手は何が良い? と聞かれれば答える事ができる、それは何故か? それはただの盤面であり、向こう側には誰もいない。
 かがみも同じだ、向こう側の思惑が何であろうと、究極の場所では関係ない。それはみゆきの最適行動とも違う、人読みはどこまでいっても読みだ。じゃんけんと同じだ。それで勝利するのは偶然でしかない、かがみは生き残りを偶然に頼ったりはしない。
 だから、画面の向こうに相手がいるかどうかは関係ない。ラウンド2、ファイト。
 由乃が飛んだ、逃げ斬空、とび下がり、放たれた波動拳をヴァイパーも跳んでかわす、空中戦に突入する気だ。この空の上でヴァイパーに勝てるつもりか? ドッグ・ファイト、格闘ゲームの画面の3分の2は空だ、それが多いとしても、半分は空となる。だがこの半分を自在に使えるキャラクタは少ない、それは、対空技という地獄の掟があるからだ。飛べば、落とされる、甘えた跳びは、つまり、ジャンプが甘えであるのを意味する。
 
 牽制の逃げ波動、ヴァイパーが跳びを通す、中距離、ゴウキの牽制の動きがかがみに警告する、近づくな、と、だが、セイスモがゴウキを吹き飛ばした。牽制や、ゴウキの動きを警戒せず。

 こいつは、私を無視している・・・!
 
 由乃は戦慄した。この60分の一秒の世界、0フレーム戦域でこれほどの高機動をする相手が、自分を見ていないのだ。いや、むしろ今、由乃はそのかがみの世界に飲まれつつある、自分はゴウキを操るパイロットで、かがみ操るヴァイパーと空戦しているのだ、と。
 斬空を発射、かがみのヴァイパーが猛然と追ってくる、跳びを落とされる、などとは考えていない、ゴウキの薄い装甲が由乃の気にかかる、ヴァイパーの一撃は一瞬でゴウキを沈めかねない。
「だが、大k一発で沈めてやる!」
 そうだ、大K一発で逆転できる、それはゴウキの──由乃の強力な武器の筈だ。追いすがるヴァイパー、逃げるゴウキ、斬空でどこまでも逃げれる相手ではない。しかし、攻め気を見せた瞬間、大足で差してやる、これは空戦ではない、差し合いだ。
 かがみは猛烈なGを感じながら、それはもちろん錯覚だ、しかし、ゲームをやる人間は、仮想の中に現実を見出すのだ。ロックオン、由乃をとらえた。ヴァイパーが放つ警告音、こっちの攻撃が届く距離は、相手の攻撃が届く距離でもあるのだ。ヴァイパーがロックオンされている、そしてかがみは



 ビッキーズには当時、無数のスト2xの達人が集まっていた。最高の対戦環境だ。その中で一際目立つ存在がいた。

 『神』

 かがみは、神と戦ったのだ。
 対戦した。
 しかし、神には勝てなかった。何度やっても。
 スト2xにはヴァイパーはいない、かがみはリュウ、神もリュウ、同じキャラクタだ。かがみはリュウの声を聞こうとする、だがその声は『神』にも聞こえていた。
 かがみが初めて出会う、同じように声を聞ける存在だった。
 ダイブしたかがみの視界にリュウが見える、しかし、そのリュウは自分だった。
 恐ろしく正確な波動拳、強すぎる。
 神はそこにいた。
 それは、自分だった。
 自分に、勝つ事が出来るのか?
 向こう側にいるのは対戦相手ではなく、自分だったという事か?
 ロックオン、敵はそこにいる。
 しかし、リュウが言った。 

 (あれは、自分だ)

 自分を、攻撃はできない。
 接続が切れる、そこにいた自分はただレバーを操作している無力な人間だった。神は、連コした自分を見ることもなく去っていった。



 そして今。
 ヴァイパーが敵に肉薄する、大Kの危険性、ヴァイパーの警告、ロックオンは完了している。ヴァイパー、敵を討て、しかし、

 そこにいるのは、ヴァイパーだった。

 敵はゴウキだった筈だ。

 ここはどこなのか? だが、かがみに迷いはない。これは、戻ってきたのだ。戻るべき0フレーム戦域に。

 幻覚。
 神との戦いの再現。
 今のかがみの答えは。
 ヴァイパーは言う。

 (あれは、自分だ)

 それがどうした。
 かがみは叫ぶ。

 「あれは自分だが・・・・・・・・・敵だ!!」


 バーニングがすべてを焼き尽くす、ゲージをすべて吐く連続攻撃、ぴより、補正切り、攻撃、由乃一撃死!! ヴァイパー、ウィン、パーフェクト。

 かがみは言う。


 「いま、私は、神を超えたわ」



続く。

ready gun ready go

 ごきっす

はくへん

22:52  良いこと(っぽいこと)を言っても、やってもブーイングを浴びる、それが黄薔薇クオリティ・・・ちがうかー? 勝てばいいよしのん、面白ければいい、というデコの間違いなく直系です、残念ww これがリリアントップ3の一角とは恥ずかしくて表に出せねぇ・・・って、思いっきり生放送――手遅れや!! でも祐巳や志摩子は笑って見守ってそうだ、結局苦労するのは下級生なのねん。

拍手あざーっす。黄バラって・・・令さまはそんなことないじゃん!よしののとばっちりですよそれは!よしのクオリティですよ言うならば! まあ、デコは絶対ハメ技使うタイプ、間違いない。恥ずかしいものをあえて表に出す羞恥プレイです。ゆみもしまこも、そんなよしのが好きだとおもいますよ!拍手あざーっす




「神様に、会ったことある?」

そう聞かれたら、柊かがみはこう答える。

「会ったよ、昔、ビッキーズで」

今はなきゲームセンター、ビッキーズ。
そこにはかつて、スパ2の猛者が集まり、その中に、『神』がいた。
だからその質問への回答は「闘劇の壇上で」でもいいし「モアの筐体の前で」でも「EVOで会った」でも良い。

確かに、そこには、『神』がいたのだ。

 かがみはそこで、初めて格闘ゲームをやり、そしてゲームに共感した。手足のようにキャラクターを操れる感覚を得た。それは、確かにそこでだけ感じられる実在だ。
 自分のアクションに対する信頼性の高いレスポンス、それは現実世界の人間には求め得ない、つまり、キャラクタは現実の人間よりも信用できる、当然だ、自分が操作しているのだから、それは、自分自身だ。
 だが、かがみは画面の中の光点の集合体に過ぎないキャラクターの息遣いを確かに感じる。リュウが波動を撃つなという時、相手は跳んでいる。それはリュウからの警告なのだ。ゲームセンターで必要なのは対戦に勝つ事で、操作するキャラクタは最高のパートナーの筈だ。そしてキャラクターは生き残るためにかがみに呼びかける。戦って、勝てと。
 かがみがゲームセンターに求めるのはシンプルな価値観だ。ゲームで勝つこと。女だからとか、生意気だとかお高く止まってるだの、人間関係の煩雑さと無駄さに比べてゲームはシンプルだった。それになにより、キャラクタは信頼できる、人間よりよほど。波動拳コマンドを入力すれば波動拳は出る。キャラクタは裏切らない。
 当然、ゲームセンターで数少ない女性であるかがみは奇異の目で見られる。だがしかし、それがどうだと言うのだ。目の前にあれほどシンプルで完全な関係性があるのに、なぜ、それより遥かに不完全な人間との関係をゲームセンターでまで繰り返すのか。
 だからかがみには、ゲームセンターにいる自分について誰かが何を言おうと、関係がない。そもそも、他人の感情が自分のゲームの腕と何の関係があるのか、必要なのは戦って勝つ事だけだ。

 そして、かがみは『神』に出会った。







 リリアン対抗戦。
 かがみは、相手の由乃がゴウキを選ぶのを眺める。さっきまではフォルテを使っていた。司会がその由乃の行為を遮った。キャラ変えが許されるルールだったのか明確ではないからだ。だが、かがみはそれを、どうでもいいと思って眺めた。そんな事は関係がない、と。
 むしろあせっているのは、相手校の生徒だった。
「由乃さま、マジなにやっちゃってんですか、リリアンの黄薔薇がキャラ被せって、ときどじゃないんですよ」
 乃梨子はもう血管が切れそうだった。限界だ。ハメ技、悪質な態度、キャラ被せ、お嬢様学校であるリリアンのイメージを崩壊させかねない。危険過ぎる。
 今のネットは、ほんの少しのヒール的行動さえ許容できない。そして、マスコミの偏向報道を叩きながら、その同じ口で由乃の言動を一部継ぎはぎして印象操作をする。素人が、何の得にもならないのに、自ら。
 リスクの高い時代、何も言わない人間だけが叩かれない。だが由乃は言った。
「キャラ変え禁止なんてルール、どこにも書いてないじゃない。被せは当然の戦略よ」
 まさにアイスエイジ、会場を冷やす冷やす。実況も困惑した声をあげる。
「しかし、高校同士の対抗戦でキャラ被せというのは、幾らなんでも・・・」
「あんたの言葉はこの対戦を汚している。所詮高校同士だから本気にならなくていい? そうじゃない。ありとあらゆる方面で全力を尽くすから、楽しいのよ」
 かがみは、この茶番を眺め続けるのを、ヴァイパーが咎めている気がした。
”速く飛びたい”と。
 だから言う、会場も倫理も信念も関係なく、自分とヴァイパーのために。
「キャラクタは何でもいい、変えたければ変えればいい、そんなことは関係がない。強ければ勝つし、弱ければ負ける」
 これは大会だ。
 キャラ被せの認められた大会もある。変えたいなら変えさせればいい。大会のルールに書いていないのなら、それはやって構わないという事だ。今からルールを制定するなど、時間の無駄でしかない。
「話がわかるわね。ゴウキ:ヴァイパーはスパ4xでは6:4よ」
 かがみはその言葉に答える必要性を感じなかった。言葉は必要ではない。強いて感想があるとしたら、かがみの言葉は一つだけだ。

  『それがどうした』

 由乃が座る。かがみは一秒でヴァイパーを選ぶ、間違える筈のない操作。由乃はゴウキ、ラウンドワン、ファイト。



 かがみにとって、ヴァイパーは戦闘機だ。そしてこれは、空戦だ。



 REEADY GUN READY GO



 レバーとヴァイパーのレスポンス、何の問題もない、ラグがあろうとなかろうと、自分とヴァイパーの関係は変わらない。ヴァイパーは、飛べると言っている。かがみのpp6000能力の発動。

 「・・・・・・・ダイブ」

 とぷん、と音をたてて、ディスプレイが水に変わり、その中へとかがみはもぐっていく。かつてビッキーズで誰かが言っていた。対戦のコツは「ディスプレイの中に『潜る』」んだと。
 かがみは、その感覚をゲームをやり続けた末に理解した。
 自分は、潜れる、と。
 ヴァイパーとダイレクトリンク完了、遅延フレーム把握、ガード方向確定、READY GUN READY GO、パナシの強サンダーをリフトオフ、食らったゴウキが転倒する。起き攻めのだしおスペシャル、バーニングの方向はめくりの裏、ゴウキがガードできず燃えあがった。ヴァイパーが水平方向に滑るように飛ぶ、画面端から画面端まで届くくらいの大ジャンプ、立ち上がった由乃は起き上がりへの重ねが表のキックであることを確認した、ガード、だが、ヴァイパーが信じがたい挙動をする。ジャンプ大パンチを表ガード→バーニング裏周り逆ガード、は、できない、表から裏へ流れる連続攻撃、しかもその間、ヴァイパーは地に足をつけない。
「馬鹿な!」
 ゴウキが燃え、うめく由乃にこなたが言った。
「かがみのヴァイパーは、『空を飛ぶ』」
 大丈夫、飛べる、かがみはヴァイパーの声を聞く、アイスエイジがどんなに温度を下げても、かがみには最初から関係がない。ゲームをやっているときには、対戦相手さえ関係がない。自分とヴァイパーがいる、それだけだ。オンライン対戦の向こうがCPUでも人間でも、区別などできないし、区別する必要もない。ただヴァイパーがいて、それを操作して的確に敵を叩くのだ。
 セイスモからの追撃、ほぼ端端、それでもバーニングが届く、本当に空を飛んでいるようだ。その機動性は人間のものではない、EXセイスモ、追い討ちは、ゲージを吐かないダッシュからのウルコンだ。恐るべき高等技術だった。まるで、かがみとヴァイパーは一体となって動いているように由乃は錯覚する。大Kループなど、出すことさえできなかった。そもそも、かがみは大Kの警戒さえしていない。自分が正しいと信じるプレイをしているだけだ。それで、隙がない。


「あっけない一ラウンドだった」

 戦慄すべきヴァイパー使いが画面から目を離さず、いや、画面以外この宇宙に存在しない口調で、言った。




 続く。


由乃さん・・・

 はい、ごきげんよう。拍手返信。

>23:43  あかん、この由乃さんは応援したくなったww たぶんニコ動の方でも、お寒いコメント弾幕が流れていることでしょう、でも面白いからもっとやれよしのんww そして乃梨子はやっぱりツッコミ役として、超優秀。 

拍手あざーっす。応援していいのか、このプレイスタイルを、と思わないでもないですが、どうしてこんな事になってしまったのか・・・知り合いにも、由乃さんがアイスエイジとか言い出した時には悲しい気持ちになったとか言われていたのに……噛ませ臭が凄い、と。ニコ動だと、叩きコメントが弾幕みたいになっている事でしょう、あらゆる場所で叩かれるよ、本家アイスエイジなんかむしろ愛されキャラなのに……、もう、由乃はこの方向で行きます! 乃梨子はもともと、リリアンという学校自体に突っ込みを入れてましたからね。優秀です、という感じでごきげんよう。

>09:01  あwいwすwえwいwじw でもコマンド入力してる手はきっと熱くなってるんですねw 

拍手あざーっす。草生やすんじゃねえ! そして、由乃のハートもきっと熱いんです、たぶん・・・






前回までのあらすじ 由乃がハメ技使った。



動画を流れる非難の嵐。
2chに叩きコメが溢れ帰り、会場がブーイングの轟音に包まれる。
その非難の渦の中心で、由乃は笑った。


  「これが、アイスエイジだ」


放たれた冷気に会場が凍りつき、ブーイングが止む。
間違った強さを正せるものがあるとしたら、それは正しい強さだけだ。
まだ、宝良みゆきとの最終ラウンドが残っている。
会場に向かって、いつの間にかヒールでなくなったみゆきが言う。
「皆さん、安心してください」
みゆきのメガネがキラリと光った。

 「私が、潰します」

その胸が、ゆさり、と揺れる。
平坦な胸の持ち主の三つ編みが逆立った。
「あんたじゃ無理よ」
会場がその言葉に反感のボルテージを高める。何故、ヒール気味だったみゆきより、由乃はヒールになっているのか、みゆきは志摩子を、知識がないとか馬鹿にしていたのに?
答えは簡単だ。

みゆきが悪だというならば、由乃はそれを超える更なる悪。

ヒールを越えるヒールの前では、ただのヒールなど善玉に過ぎない。
その邪悪なる三つ編みが口から冷気を吐き出し席に座った。
みゆきも座る。
 
 最終ラウンドが、始まる。

みゆきは、大パンループの有効性を自分のゲーム理論計算式に組み込む。大パンチは今や、一撃当てるだけで相手を殺しきれるリターンを持つ武器になっている、その戦略的比重はとてつもなく大きい。極端な話、大パンチをずっと振り続けて、事故で当たれば由乃の勝ち、それだけでもリターンが取れる。他の技を振る必要がないくらいに。
「くっ……」
その余りに巨大な『比重』が、『知的探求』(ミウィキペディア)を乱している。大パンチのリターンが大きすぎて、計算が上手くいかない。
 フォルテのスライディングの先端当て、大パンチ警戒のみゆきが転等、起き責めが大パンチの可能性がみゆきの脳裏をよぎる、リスクリターンの収支が合わない、プレス重ねによる再びのダウン、混乱、焦燥。
 ゲージはまだない、安全に暴れ抜けられるか分からない、ガード安定、フォルテが投げキャラであることを、ワカモーレを食らいながらみゆきは思い出す、ダウン、再びの起き攻め、一点読みのヘッドがプレスを狙ったフォルテと相打ちする、ゲージはもう半分がない。ウルコンゲージは点灯している。
「どうした? ご自慢の計算は?」
「くっ……」
「ようやく気付いたか、私があんたのpp5000能力を『潰した』事に」
みゆきの『知的探求』(ミウィキペディア)はフレームやダメージなどの全ての効率を元にリスクリターンを図って最適行動を繰り返す能力だ。だが、大パンチ一発で決着がつく、などという狂ったほど比重の重い計算要素が出てきた瞬間、全てが破綻し、大パンチの影に怯えるほかなくなった。
「あんたは丁度、昔の私と同じだ、寒けりゃ勝てる、大パンループが完璧なら勝てるって思った、私と」
そして由乃は、柊かがみに向かって言った。
「あんたがその私の計画を叩き潰してくれたけどなあ!」
宣戦布告、まだ、みゆきと戦っているというのに。
セビ重ねをバイソンガード、大パンを警戒した小パンの振りにプレスが命中、起き責めに暴れたヘッドにセビキャンの保険付き、ヘッドが命中し、ウルコンも命中、由乃は画面端、起き責めに小パンを重ねようとして、暗転。
「はあ!?」
「起き上がりぶっぱ、なんて玄人がする訳ないってか? それが、甘いのよ」
上級者ほど、ウルコンぶっぱ勝ちを嫌う。いおりフォルテも、ウルコンは対空か確反でしか出さないと言っていた。納得いかないから、と。
だがしかし、由乃は言う。

 「勝てば……いいっ!!」

最悪だ。だが、愚痴っている場合ではない。
バイソン一気に削り圏内、みゆきの思考がめまぐるしく回る。
(ここで負けたら、チームに迷惑が)
(起き上がりに何かを重ねてくる?)
(ここまで来たら、安定行動もリスクリターンもへったくれもない)
(プレスの削りでは殺しきれない筈)
(『知的探求』(ミウィキペディア)では切り抜けられない)
(自分の意思で……

          『読む』しかないっっ!)


投げ重ねを読んだ飛び……を読んだ由乃の空中投げ!!


          K.O!!


読み負けた……呆然とするみゆきに由乃は言った。
「ようやく、知識の世界から出てきたか、この『読み』の世界で、いつでも私達は、待ってるから」
そしてみゆきは気付く。
『最後のラウンド、由乃は一度も大パンチを振らなかった』
「全て、手の上、という訳ですか……」

     勝者、由乃!!

その栄冠に輝く中で……ブーイングは最高潮に達するのだった。


「ええ!?勝ったのに!?」
「当たり前です」
乃梨子が冷静に突っ込む中、陵桜の中堅が現れた。
由乃因縁の相手、柊かがみだ。
「あのゲーセンでは、どうも」
とふてぶてしく笑う由乃は悪役にしか見えない。「リリアン生で黄薔薇なんだから、マジ勘弁して下さいよ、品格的に」と外部生だった筈の乃梨子も涙目だ。

「こっちこそ、どうも」
と言う、ツインテールの美少女はそっけない。釣り目がきつそうでもある。
由乃は対面に座り、さっそくそのpp5000能力を発動させる。
全てを包む冷気の中、かがみはディスプレイの表面を撫でた。
まるで、自キャラを撫でるみたいに。
どんなに凍りついても。

「今日も、『飛べる』よね? ヴァイパー」

対戦が始まる。




続く。


あいすえいじ

前回までのあらすじ。
由乃さんが遂に、自分のpp5000能力を爆発させる。




人間は、興奮することで強くなる。
多くのドーピングが興奮剤であるように、アドレナリンが、人間の反射神経を高め、痛みを忘れさせ、集中力を高める。もちろん、興奮し過ぎはかえってミスを呼ぶだろう、それでも、興奮は必要なのだ。

だが、寒いプレイ、寒い雰囲気は他人の興奮を時に下げる。

熱狂の時を失った人間は動きに精彩を欠け、最後に勝つのは理詰めのプレイをした者となる。
いま、ゲームセンター全てを由乃の冷気が覆いつくす。
多かれ少なかれ、寒いプレイは相手のやる気を折るが、その究極の形が由乃のpp5000能力、『氷の世界』(アイス・エイジ)だ。
「急に、温度が……」
志摩子が震えて自分の肩を抱き、みゆきが眼鏡の曇りを拭く。
由乃は邪悪に笑った。
「もうあんたは、奇跡のようなプレイは出来ない。全ての感覚は寒さの中へ消えていく」
「なるほど、これが貴方のpp5000能力・・・しかし、この宝良みゆきには、その能力はもっとも無意味なのです!」
何故なら、宝良みゆきは興奮からくる反射や、読みに頼るプレイヤーではない。どれほど寒かろうと、みゆきの『知的探求』(みうぃきぺでぃあ)は止まらない!

 ラウンド2、ファイト!

みゆきの目に格闘ゲームは、膨大な知識の総体に見える。
巨大な計算ゲーム。
確反、ダメージ値、フレーム有利不利、ゲージ、この行動がどれくらいのリスクで、リターンはどれくらいか、これは最適戦略を選ぶ、ゲーム理論的ゲームだ。
どの行動がもっとも有利で、もっともリターンを取れてリスクが少ないのか、それは確反やダメージや気絶値やフレーム時間が教えてくれる。自分はただその最適解を繰り返していればよい。

無謀にも由乃は前歩きでみゆきに近づき、3キャラ分ほど離れた場所で小パンを振って牽制を狙った。何の反応もない、飛ぶ、素早く。
 飛びの軌道を確かめてから、プレスで押し潰す。めくりがガードされる。フォルテが殴られ、はねた。体力ゲージが消えていく。生半可な動きではみゆきを倒せそうにない。由乃は舌打ちをしてバイソンの起き攻めをガードする。
 みゆきに歩み寄る。と、上に動きがあった。黒い影──由乃はフォルテの視点でそれを見た──は、ぐいと回転すると、フォルテの真上に落ちてきた。そのまま大パンを打つ。滞空不能の状態だ。突然、時間と空間の流れが変わった。ジャンプからの当て投げだった。スパ4の定番戦法だ。無理だ。投げられる。ダウン音。
「起き攻めでハメ殺してあげます」
 温度が更に下がる、硬いガード、小パンを防ぐ、ダッシュストレート、まだガードする。由乃は一つの機会を待っていた。スラインディング、ガード、コマ投げ、バックダッシュ、由乃がそれを読んで、アバネロダッシュで追っている。
「ようやく、見せられるわ」
 大パンチ炸裂、アバネロダッシュ、大パンチ、アバネロダッシュ、大パンチ、アバネロダッシュ。
「まさか……」
 会場が息を呑んだ。
 つかさも、かがみも、乃梨子も『それ』を知っている。
 血の滲むような努力がなければできないそれ。
 大パンチ、アバネロダッシュ、大パンチ、アバネロダッシュ、大パンチ……。
「これは……」
 大パンループ!!!!
 そう、読者諸兄も覚えていよう、由乃はつかさとの野試合で、大パンループで時間切れまでずっと殴っていた。恐ろしい高等技術が、大パンチ先に当てた方が勝つクソゲーを生み出す。
「交流戦でやる技じゃねえ!!!」
 乃梨子の突っ込み、あの時にもそう言ったのに!!
 会場の温度がみるみる冷えていく、酷すぎる。
「北斗じゃねえんだぞ!!」
「戦国BASARAか!!」
 完全なるフォルテ陸上、戦国BASARAの永久が、延々と画面を往復するため、戦国陸上と呼ばれるのに等しいクソ試合、宝良みゆきが吼えた。
「タイムアップまで大パンループなんて、できる訳がない、あと50秒以上あります。中足絶唱TKDだって、そんな事は出来ません!」
 会場どころか、みゆきさえやる事がない。延々と続くフォルテの大Pループをお楽しみ下さい。
 会場どん引き、醒めまくり、ブーイングに会場が満ちる。
 だが由乃は大パンループをミスらない。
「まさか……」
 あと20秒だ。
 由乃は何も言わず、ただ黙々と大パンループの操作だけを繰り返している。会場の野次も無視して。
「リリアンのお嬢様の戦い方じゃねえ・・・」
 あと5秒。
 仮にここで大パンループをミスしたとしても、ぴより確定である以上、逆転は限りなく厳しい。
 そしてまだ続く大パン。

 タイムアップ。

 思わずみゆきが台パン。

 「ふざけんな!」
 「死ね!」
 「さむすぎんぞ!」
 「リリアンの恥さらし!」

 その野次に、由乃は笑って言った。



 「これが、アイスエイジだ!!」





 続く。


よしのさーん!


前回までのあらすじ、リリアン陵桜対抗スパ4戦は、初戦の志摩子vsつかさは志摩子の勝利、志摩子vsみゆきはみゆきが勝利し、みゆきは全ての技のフレームと反確を暗記し、いつでも思い出せるpp5000能力 『知的探求(ミウィキペディア)』を炸裂させた。だが、志摩子を無知なファイターと罵るみゆきに由乃が切れた!


 「久々に……切れちまったぜ!!」


 否応無く対戦台に座る由乃は更にみゆきを煽るのだった。


 「屋上行こうぜ!!」


 完全にマゴの名言のまるぱくりである。
 更に、由乃は陵桜勢を全員指差して言った。


 「お前らは、私に負けるんだぞ!」


 これもマゴの名言なのだが、知らない人には関係ないですね、すいません、調子に乗りすぎました。
 「知識だ知能だしゃらくせえ、格闘ゲームに大事なのは知識なんかじゃない!」
 みゆきが眼鏡を中指でおしあげる、なんだか、中指をたてているように見えないこともない。ファ○○ユー。
 「優秀な格ゲーマーで、知識がいらない、なんていう人はいません」
 「私が言ってんだろ」
 「愚かな・・・」
 由乃が選んだキャラは、フォルテ!
 みゆきは鼻で笑う。
 「ダイア上は私が有利です、所詮は荒らしの弱キャラ、『分からせて』あげます」
 ゲーマー専門用語、わからせる、どっちが格上か分からせる、という意味だ。
 「死ぬのはあんたよ」
 「面白い」
 対戦を止める事は、もはや誰にも出来ない。

 ニュー ウィーリアー エンター ハブ ザ リング

 ラウンド1 ファイト


 由乃は、レバーの向こうの『鼓動』を聞いている。
 久々に来た格闘ゲームブーム。
 由乃だって実は、昔は格闘ゲームをやっていた古参ゲーマーだ。
 相手は令だったが。
 今は、昔は見えなかったものが見える。
 真剣に、ゲームをやるということ・・・

 画面端から、バイソンがダッシュストレートで突撃してくる。由乃はバックダッシュで後退する。二択、一つは再度前進してプレス、もう一つはスライディング、由乃はスライディングで反撃開始。
 バイソンとフォルテの地上戦。その隙に由乃はみゆきに対する人読みを開始。みゆきはフレームと確反とダメージ値を知り尽くし隙がないが、由乃はそのワンパターンを見逃さない。由乃フォルテは相手前で急上昇、困難なめくりジャンプ攻撃で照準。ロックオン。めくり攻撃がヒット後に大パンチループを開始。補正が厳しくなるとただちにスライディングを放って離脱する。ゲージもピヨリ値も十分だ。
「これ、トレモじゃないの?」
 由乃の挑発にみゆきは激怒、だがプレイスタイルのクレバーさは崩れない、フォルテは間合いのギリギリでゆらゆらと揺れる。みゆきは足の動きを見て、ストレートを重ねた。バイソンが接近してくる。確かに、クレバーな攻撃だった。ガードしても確反はない、フレームもバイソン微有利。由乃はゲージを確認する、いける、とフォルテの返答。そして由乃は、バイソンがぶっぱを読めない、と判断した。みゆきの攻め気をキャッチ、由乃は素早くコマンド入力をオン、エル・フォルテが宙を舞う。
「トル・ティーヤ!」
投げられたバイソンが宙を舞った。
置き攻め、プレスが素通り、再度倒れたバイソンに見えない択をしかける、知識では、見えない択に対応はできない、だからこそのフォルテ、荒らしキャラ、小足、そしてまさかの小足ループ、バイソンのピヨリ、セビ3が炸裂して決着同然、最後は魅せコンボで締めた。
まさかの、P勝ちだ。
「弱いぜ、あんた」
みゆきが切れた。

「ふざけんなクソキャラ!!」
「溜めキャラに言われたくねー」

由乃はもう、そのpp5000能力を隠しはしない。

全開、だ。

「あんたの分析は終わった……魅(見)せてやる。『氷の世界』(アイス・エイジ)」



続く。

脚がかゆい

 ごきっす。

>13:34  なんかみゆきさんが微妙にかっこいいw微妙にw 大事なことなので(ry 

拍手あざーっす。みゆきさんは、いい子だよマジで。人気はいまいちだけど、いい子ですよ! まあでも、なかなか、難しい世の中だよ・・・拍手あざーっす。




 格闘ゲームにおいて、知識とはどのような意味を持つのか。
 「分からん殺し」などという単語があるように、知識がなければ対応できない状況、というのはある。あのウメハラでさえ、最初に触ったゲームでは負けて、徐々に強くなる。
 
 キャラ対策、フレーム知識、覚えるべきことは無数にある。そしてある有名プレイヤーは、格闘ゲームに必要なのは反射ではない、と言う。
 状況状況における最善を選べるかは、知識の力。
 そして高良みゆきは、格闘ゲームは知識だと信じる人間だった。

「来なさい、無知なファイター、格闘ゲームが、知識のゲームだと言うのを教えてあげます」

 ラウンド1、ファイト。

 みゆきのバイソンに対してリュウが波動拳を撃つと、飛道具をすりぬけたバイソンのストレートがリュウを吹き飛ばした。
「無知の極みですね、あの距離での波動拳は、ダッシュの餌食です」
 ただしいバイソン戦を、知らないんだわ、とみゆきは志摩子を見下した。
 バイソンのストレートをリュウがガードし、反撃しようとしたところに、ターンパンチが突き刺さる。
「今の位置でのストレートをガードしたところで、フレームは五分、後の選択しでもバイソンの小パンチはガードされても有利フレームが取れます。つまり、この場合のガード後の有利フレームが3フレームあれば、発生3フレームの技が(省略)」
 バイソンのパンチをリュウがガードし、中足波動を撃とうとした。だがそれを、バイソンの拳が叩き潰す。
「リュウの中足の発生が5フレームで、バイソンのガード後有利が(中略)つまり、リスクリターンを考えれば、今の場面で中足波動はありえない!」
 何故か全然関係ない由乃が叫ぶ。


 「こいつうぜええええええええええええええええええええええええええ!!!」


 「うざくない! 格闘ゲームは、知識のゲームなのです!」
 確かに言う通り、志摩子は追い詰められている。
 何故なら……

 『どんな技を振っても潰される』からだ。

 この距離で、リュウがこの技を振ったら、どの技で潰せる、この距離なら、バイソンがどの技を振っていればリスクが少なく、リターンが多いのか、相手は知り尽くしている。
 みゆきはただ、淡々と有利な技を振り続け、相手に与えるダメージとこっちが食らうダメージの収支だけを気にしていれば良い。
 (この人……強い!!)
 気付けば、志摩子に出来る選択しが狭められている。この距離で中脚を振ると、あの技で潰される、ここで波動を撃てば、ストレートで潰される、そんな思考が、志摩子の動きを狭めているのだ。
 (飛ぶしか!)
 不意をついた、だが、甘えた飛びに、みゆきは首を振った。
 バイソンが、グヘヘと笑う。
「貴方は何も分かってない、ウルコンが溜まったバイソン相手に飛ぶなんて、素人以下です」
 頭突きで迎撃されたリュウに、バイソンのウルコンが突き刺さる!!
 一瞬のウルコンフィニッシュ、志摩子は手も足もでなかった。
「分かりますか? 何でもできるようで、格闘ゲームで『本当に出来る事』はとても少ない。相手のウルコンが溜まったら飛べなくなる、なんて場面は幾らでもあります」
 大抵のウルコンは、着地後の隙に命中する。
「私は、どの場面でどの技が不利でどの技が有利か、全て知っている……これこそが私の、pp5000能力!! 『知的探求(ミウィキペディア)』!!」
「pp5000能力ですって!?」
 という由乃の驚きをよそに、祐巳とかが「とうとう出てきたか、pp5000能力者達……」って言うと、実にそれっぽい異能バトルに見えますね。
「とうとう出てきたか、pp5000能力者達……」
「知ってるの祐巳さん!?」
「常人の壁であるpp5000を越える者たちは、ある種の異能を身につける。あの高良みゆきって人は、『知識系』の異能者みたいだけど……」
今思いついたけど、乃梨子の邪神眼とかは『眼力系』の能力ってことで、ひとつよろしく。
「志摩子さんじゃ、pp5000能力者には勝てないんじゃ……」
「乃梨子ちゃん、お姉さまは信じなきゃ駄目だよ。それに……」
祐巳は自分の掌を見つめた。
「勝ち負けが全てじゃないよ」
第二ラウンドも防戦一方の志摩子。
何を出しても、バイソンの出し得技と、腹が立つ程のガン待ちに手も足も出ない。
セービングを、バイソンのストレートが叩き割る!
「出たー! バイソンの売るほどあるガードブレイク技だー! 寒い! 待ちうぜえええ!!」
司会が率先して煽るなか、志摩子は自分の動きを考えている。

前ラウンドパーフェクト負けを喫して、思うところがある。
志摩子のリュウが、唐突に前へ出た。
「無防備な前歩きこそ、ストレートの餌食……」


 昇竜拳!!!


たくましいリュウの声が響き、バイソンが吹き飛ばされた。
「あれは……!」
『無造作な前歩き』と『突然のぶっぱ昇竜』。
見たことのある、攻撃だった。
いや、これは、間違いない。
「ウメハラ……!」
「いきなり歩いて昇竜拳とか、リスクリターン滅茶苦茶過ぎます! 二度はない!!」
間合いを詰めていたリュウに、バイソンの小パンが……


 昇竜拳!!


小パンを、昇竜拳が潰した。
祐巳が笑い出す。
「ふふ、ふふふふ!! 凄い! 間違いないよこれ!!」
祐巳が言う。
「『小パン見てから、昇竜余裕でした』」
レバーを握る志摩子には、確かに何かが乗り移っている。
いきなりのぶっぱ昇竜ニ発に、バイソンのリズムが乱れかけている。
「偶然に決まっている。そう何度もリスクの高い昇竜拳を出来る訳が」


 昇竜拳!!


小パンが再び潰され、バイソンが倒れる。
昇竜拳を警戒せざるを得ないバイソンを、リュウが投げ飛ばした!
「志摩子さん!!」
乃梨子の感激の声に、志摩子の動きが止まった。
「あれ? 私……」
「チャンス!!」
バイソンのぶっぱウルコンがリュウを吹き飛ばし、そのまま2ラウンドを先取し、みゆきの勝利となった。


「私が、声をかけたせいで……」
と、しょんぼりする乃梨子の頭を、志摩子が撫でた。
「ううん、実力よ。さっきまでのは偶然だもの。それにね」
志摩子が微笑む。

「とっても楽しかったわ」

「志摩子さん……!」

だがそんな空気を読まず、とにかくキャラをアピールしなければならないみゆきは言う。
「昇竜一生こすってる初心者に負ける訳にはいかないですから、ただ昇竜ぶっぱするしか能のない素人に、てこずってる場合ではありません。次の方、どうぞ」
誰が行く? などと相談する間もなく、由乃さんが対戦台に座っている!
「あんたさあ、うちの志摩子馬鹿にしてる訳?」
「無知丸出しの、真面目にやってないエンジョイ勢でしょう? いいんじゃないですか、仲良しこよしで楽しくて」
ふっ、と笑って、由乃が叫んだ。

「久々に……切れちまったよ!!」

それは、ゴッズガーデンで全一サガットプレイヤー、マゴの叫んだ名言だ!



 「屋上行こうぜ!!」



知らない人間を全く置いてけぼりにしつつ、続く。

理屈はいらねえ!

 夏コミ終わった!
いろいろあった!
でもとりあえず、ニコ百合!





陵桜・リリアン交流会。
スクールコートを羽織った祐巳が不敵に笑っている。
「みんな、準備はいい?」
「あれ!? 動画実況者大会は?」
乃梨子の疑問に、祐巳は首を振った。
「作者の都合でカットされました」
「マジで!?」
いよいよ、出陣の時だ。
皆、自分の格ゲー力を高めるためにずっと、訓練を続けてきた。
「リリアンの山百合会が、最高の格ゲー集団だと、証明してみせる」
「あれ? この交流会って、そういう趣旨でしたっけ?」
蔦子がカメラを片手にやってきた。
「ユーストリームで配信する予定よ。ニコニコにもアップする予定だし、あと、顔出しだからね」
「あ、そっか」
こうして、皆、いそいそと化粧するのだった。



「こなた、そろそろ行かないと、遅れるわよ」
と、かがみが呼びかけるのに、こなたはのんびりと答えた。
「おー、今日が交流会だったかー」
「あんたなあ……忘れてたのか?」
「まあ、気負わないのが私のスタイルだからねー」
感情的な行き違いも、リリアンの生徒とあった。
志摩子も、乃梨子も、交流会に出るという。
格闘ゲームの行き着く先、自分の強さのたどり着く場所。
それは。
「絶望だ」
と、いきなり浅見カガリが言った。
「奴らに、絶望を見せてやる」
「交流会だよ? 篝さん?」
「そういう、ぬるいノリは好きじゃない。真剣にやることの価値を、みんな思い出すべきだ」
この人は、そういう考えで生きてきた。今更、こなたが言うべきこともない。
だがかがみは、篝さんに苦言を呈した。
「あんまり、相手と揉めないで下さいよね」
「私はゲームやるだけだからね。ただ、私のプレイスタイルを相手がどう思うかは知らないけど」
ネットで悪評70%を超える篝さん。挑発や舐めプレイもよくやるらしい。それが駄目な理由はない、と。
「お姉ちゃん、遅れてごめん!」
つかさが来て、これで交流会メンバーが揃った……。
「って! 揃ってません! 私が、私が高良みゆきです!」
「あ、そうだった、みゆきさんも参加だったね」
「くっ、この屈辱は、プレイスタイルで晴らします」
この五名で交流会に向かう。
ふと、廊下に立ち並ぶ面々に気づく。
八坂こう、田村ひより。
「陵桜の代表で行くんだから、負けたら承知しねえ!」
こなたは微笑む。
「うん、任せて」
「泉先輩、頑張って下さいっす!」
ひよりたちの応援を背に歩き出すと、ゆたかやみなみちゃん、だってヴぁやあやのさんまで、応援のために靴箱で待っていた。
「お姉ちゃん、頑張って!」
「泉先輩……応援してます」
「ひーらぎもちびっこも頑張れよな!」
「ひいらぎちゃん、泉ちゃん、頑張ってね」
皆が応援してくれている。
恐らく、ユーストリーム配信もされるだろう。
校舎を背に歩き出すと突然、まるで歌うように篝さんが言った。


「嗚呼、斑鳩が行く……

 望まれることなく、浮世から捨てられし彼らを動かすもの。

 それは、生きる意志を持つ者の意地に他ならない。」


思えば、篝さんを応援する人は一人もいなかった。それでいて、篝さんは応援を受ける誰より強いのだ。彼女はそういう人だった。
「なんてな、いいゲームだよ、斑鳩」
「うん……」
格闘ゲームをすること。

 それは、生きる意志を持つ者の意地に他ならない。



  ………


ゲームセンター・モア。
今は、応援に集まった生徒達の熱気に満ちている。
実況は陵桜から田村ひよりと、リリアンからは月島三奈子さまが来ている。
対戦会前の野試合がわいわいと行われ、祐巳達はそれを笑顔で眺めている。
「やっぱり、交流会なら野試合もないとね」
「いきなり対戦、とかだとギスギスしてしまいますもの」
と、紅薔薇姉妹はのんきだが、白薔薇姉妹には険悪な空気が流れている。
篝さんの部屋に泊まった乃梨子。
こなたと仲良くしていた志摩子。
この四人の間には微妙な空気が流れ、さらには、こなたはかがみを意識し、全体的にぎくしゃくした空気が流れている。
「だーーーーー!! うっとうしい!!」
と、由乃が吼えた。
「もし、自分を格闘ゲーマーだと思うなら、言いたい事はプレイに込めなよ」
浅見篝は笑った。
「そうだな、最初から、言葉なんていらねーよ、私は、対戦しに来ただけだ」
祐巳が頷く。
「分かりました、始めましょう」
蔦子のまわすカメラが回り、先方が台に座る。


「それでは、リリアンvs陵桜の対戦会を始めます!」


拍手で場が満ち、ユーストのチャットが大量に流れる。


戦の始まりだった。


web拍手がひらけねえ

 web拍手開けないから返信は明日。





「週末大会に出ない?」
と、立浪さんが言った。
「え? 何の罠?」
「罠ってなによ!?」
立浪経由というだけで、すっかり情報の信頼性が下がる昨今です。
「つまりね、私も、瞳子さんも、ニコニコで動画を上げてる動画勢じゃない? あとは志摩子さまもそうだし、ネットでは毎週、週末大会が開かれてるの。ちょっと、出てみない?」
「うーむ」
スパ現桔大会は、ネット対戦の制度の向上のたまもの。
多くの実況主が出ていることだし、出演するのはやぶさかではない。
「でも、立浪さんとかあ……」
「何か私にご不満が?!」
「いえ、いいですわ、志摩子さまにも声をかけてみます」
3on3の週末大会、気軽に参加してみようか、と瞳子は思った。


「週末大会? まあ、素敵!」
と、純真な眼をキラキラさせて志摩子は言う。
最近は、楽しいことを全力で楽しむ志摩子だ。
「じゃあ、参加OKなんですね、一人は立波さんなんですけれど」
「何故そこを強調するんですか瞳子さん。私がいて何か問題が?」
「よろしくね! 立浪さん!」
こうして、週末大会のメンバーが出揃った。


「トウドウシマと!」
「ツンドリルンと!」
「まゆたんの!」



「「「スパ検⊇桔大会に参加せんとす!!!」」」」


「はい、そういう感じでタイトルをパクリつつ始まりましたわね(釘宮声)」
「まあ、私達なら楽勝よ!キョン!(平野の物真似)」
「できる限り頑張ります!(能登麻美子声)」
この三人、競演した有名な作品ってないよな、多分。
「残念ですわ、共演した作品があれば、声真似寸劇できたのに」
「ほんとだよね〜、かがみん(平野声)」
「やっちまったーー!!立浪やっちまった!それはまずいですわ! 確かに平野声だけど、普通に登場してますからね!泉こなた!」
「え、だから、今のは陵桜高校の泉こなたの物真似。何だと思ったの?」
「はい、そんな感じのこの三人でお送りします」
「うふふ(能登声)」
「ちょっと、自己紹介とかした方がよろしいんじゃなくて?」
待ってました!とばかりに作り声で立波が喋り捲る。
「まゆたん、って名前で踊ってみた動画をあげてる者です。使用キャラはガイル、待って待ってまちまくります。平野綾に限らず、いろんな物真似が得意なんだから! バカシンジ!(宮村優子風)」
相変わらず痛みを恐れない・・・!
まゆたん恐るべし、動画のコメントが痛々しいで埋め尽くされても、全く気にしない!
「それで、私はツンドリルン、使用キャラはダッドリーで、実況動画や踊って見た動画をあげてますわ。声が釘宮理恵に似てるとしょっちゅう言われますわ。でもリアルでは、白井黒子に似ているとか言われますから、不本意な限りです。お姉さまぁ! ジャッジメントですの!(物真似、似てない)」
「あー。やっちまったな、ツンドリ」
「貴方に言われたくないですわ!」
そんな黒歴史を量産しつつ、最後は志摩子。
「えっと、あの、トウドウシマです。スパ4実況をやってます、それで……「近日中に三人で踊って見たをあげます!」
まさかの立波横入り!
「え!?え!? そんなの、え?!」
「じゃあ、今日、3勝できなかったら、とか、優勝できなかったら、とかで、踊って見たやりましょうか」
コメントは、踊ってくれ、という懇願の声で埋め尽くされる!
「え、えっと、できる限り頑張ります!」
使用キャラもいえないくらいうろたえて自己紹介が終わる。
「それが目的? 繭さん?」
「え、あ、やだなあ、誤解誤解、てへぺろ!」
とことんあざとい立浪さん。
「あ、で、今回の大会はスカイプつなげまくりで、互いの声が聞けるみたいですから、対戦相手とも会話ができますのよ。このまま、生放送で大会終わりまで駆け抜けますから、皆さんよろしく!」
「それで最初の相手は、えーと……」


 「俺達、病院勢だ!!」


と、不意に野太い声が聞こえた。
「お前達踊って見た勢に、宣戦布告させてもらおうじゃないか!」
病院勢からの挑戦。
「え、私も、踊って見た勢に入ってる?(能登声)」
異論があろうが止められない。
病院勢vs踊って見た勢の戦いの始まりだ!
「へー、煽り入ってきましたか生意気なあっ!(釘宮声)」
「俺は河原で全身タイツや半裸で踊った動画をあげてきた男、俺は、この行為に快楽を覚えてきた!」
「誇らしげに言うこと!?」
「ここでお前ら踊って見た勢に勝って、俺の半裸ダンスや江頭の物真似が、お前達の踊って見たと同じだと証明してみせる!」
「全く証明してほしくねーーー!!」

対戦が始まる。


続く。

はわ

 

二条乃梨子が邪神眼を得たように。
格闘ゲームの異能は確かに存在する。
一瞬先を見る、読み、その極限に「それ」は存在する。
シャーロックは、未来を見る。
それは画面からの情報を処理した結果の予測なのか。
はたまた、経験則が生む絶対の予言なのか。

シャーロックには、2フレーム先が「見える」

僅か60分の2秒。
だが格闘ゲーマーは、60分の1秒に命を賭けるのだ。
集中すれば、見えるその光景、異能。

これこそが、pp5000の世界。

もうぶっちゃけちゃうけど、pp5000超えた奴は全員異能持ちって設定どうかな?
要はこれも設定ぶっぱな訳だけど、あれだよ、瞳子が噛ませだと可哀想じゃん。
瞳子も自分の限界を超えて異能を得る感じにしたい訳よ。
このニコ百合会は完全に自分が楽なように書いてる訳で、だからこうやっていきなりメタになる訳だけど、シャーロックと戦う内に瞳子はこの予見眼(ビジョン・アイ)元ネタブラックキャットに目覚めて、1フレーム先が見えるようになればいいと思うんだけど、鎖六さまにバレたから、シャーロックとか無責任に書きにくいよ。

「でもそんなの関係ねえ!」
そして今はニコ生中!
コメントが、ざわ……ざわ……とうるさい。
「シャーロックだ」
「シャーロックが来たぞ」
「EVOでウメハラとも戦ったシャーロック」(EVOには現実にダッドリー使いが居て、結構いい勝負してた)
「ツンドリルンじゃ無理だろ」
「いや、ワンチャンあるかも」
ちっ、と内心瞳子はしたうちする。
黙ってろよ動画勢が!
お前ら見るだけ勢に何が分かる。

動画厨と、私達は違う世界に居る。

今日はもう、いつものように釘宮物真似小ネタを披露する気にはなれない。
よく「この馬鹿犬〜!」とか「うるさいうるさいうるさい!」とかやってたが、今日は無い。

60分の1秒の世界にもぐるんだ、とお姉さまは言っていた。
瞳子は叫ぶ。


  「ダイブ!!!」


ハチワンダイバー?! とコメントが一斉に突っ込んで、第二ラウンドが始まる。
(シャーロックには、何かが見えている、恐らくは、未来が)
だが、見えたものに常に反応できる訳ではない。
そして、2フレーム先が見えても、必ずしも勝てる訳ではない筈だ。
最速の攻撃発生でも3フレーム。
見えても、まだ、誤差。
2フレーム先が見えても、手遅れの場面はいくらでもある。
ダッドリーに必要なのは、リズムだ。
耳を澄ませば聞こえる。
ゲームセンターに響く、客達の声が。
おい、おい、おい、と、下強キックが当たる度に叫ぶ客の声が。
じりじりと間合いを取る。
だがもう、焦らない。
(ここで負けたら、乃梨子さんに笑われてしまいますわ)
あんな、闘劇の壇上でプリキュアのコスプレして戦うような男を師匠と仰ぐような奴に馬鹿にされるわけにはいかない(ただし、その後の壇上での戦いは、投げキャラの理想とまで呼ばれている。はやおは、ムーン四回で敵を倒した。つまり、投げしか使わずラウンドを一つとった。しかも、大会の決勝で)

ダッドリーの何を信じてここまで来たのか。
対戦の楽しさ。
周囲とのつながり。
それを瞳子に教えてくれたのはこくじんだった。

画面を通して、シャーロックの精神が伝わってくる。
紳士たれ、強くあれ、それがダッドリーだと。
瞳子は、己の気迫を画面にたたきつけた。
シャーロックがぴくりと動き、瞳子が消えた。
サンダーボルト急襲!
気づけば一ラウンドと同じ流れ、だが、今度は結果が違う!
攻撃はダッドリーに命中している。
「幻でも見えましたかしら」
1,2,3
リズム。
2フレーム先のしゃがみが見えても、即座の飛びめくりには対応できない。
そして、接近戦で瞳子が頼るのは、強い技ではない。
下強キックだ。
これが、ダッドリーだからだ。
マシンガンブロー
ダッキングストレート

そして何より頼るべきものは。

シャーロックがぴよる。
「ぴよれば、どんな読みも関係ありませんわ」


 コークスクリューブロー!!

フィニッシュを取った瞳子には、何かが見え始めている。

これが、強者の対戦。
限界を超えた世界。
周囲の音が消え始める。
ラウンド3、ファイト。
自分はダッドリーとして、そこに居た。
画面の中に居た。
そしてその感覚は、対戦が終わるまで消える事はなかった。

 ダッドリー、ウィン、と音声が言う。

勝ったのは、シャーロックのダッドリーだった。
だが瞳子は、吹っ切れたように言うのだった。
「私、これからもダッドリーで行きますわ」
と。







続く。

しゃおらっ!

 ごきっす。
はくへん。

>14:00  そんな高PP帯で瞳子と戦ってみたいですワ。しかし彼女ならば、コークとサンボルにすべてをかけてくれると期待しています(笑)/鎖六 

ぎゃああああああああああ!! 本人コメント! 鎖六さま以外にコメントされても、シャーロックにモデルはいない、と言い張る気だったのに。知ってたかみんな、鎖六さまの名前って、シャーロックホームズから来てるんだぜ。なんかすいません。元はといえば、PS3でバイソン使ってスパ4やスト4やってる友人に、鎖六さまもPS3でやってるらしいぜ、という話になったら友人が「確かに、鎖六さまは格ゲー強そうな顔をしていた、PP5000はある顔だった」とか言い出したのが原因です。個人的には意味わかんないんですけど、そう考えると、僕が鎖六さまにPPを聞いた時に数字で答えなかったのも意味深く思えてきて、「PPはまさに泡沫です」という回答も、PP5000など所詮泡沫、みたいに思えてきて超かっけー!! みたいな妄想の結果こうなりました。つまり、現実の鎖六さまとは何の関係もありません。拍手ありがとうございました!








くっ、モデルバレしてしまうと、凄くやりづらい。

人は何故、弱キャラを使うのか?

山崎という有名プレイヤーは弱キャラのトゥエルブで。
クロダという有名プレイヤーはQで。
3RDでは奇跡的な弱キャラ使いが、大きな結果を残す。クロダの9人抜きなど、伝説と言っていいだろう。

弱キャラとの出会いは色々だ。
たまたま、フィーリングで、弱くても動かすと面白かったから、見た目、瞳子のように思い入れで、など。
強いプレイヤーほど、弱キャラにすぐ見切りをつける。
だがそれでも、使い続けた先にしか、見えない境地がある。
合理や論理を超えた先にある強さ。
対戦の真実。
ダッドリーの同キャラ対戦。
かつてこくじんと戦い育った3RD勢として、3RDオンラインの噂もある昨今、負けられない。
「実況を、忘れてしまいそうですわ」
多くの実況プレイヤーが、ガチの対戦で言葉を失う。
話題を用意して、これ喋ろう、あれ喋ろう、なんて思っても、本物の対戦の前では全て塵だ。
シャーロックとの対戦……シャーロックは、現実のいかなる人間、SS書きとも関係の無い架空の人物です。そのうち、keitaとかいうバイソン使いが出てきたとしても、現実の人間やSS書きとは関係ありません。
ラウンド1、二人はまるで鏡のように同じ動きで下がった。
じりじりと間合いを計る。
ダッスト、遠距離ならそれしかない。近づくこと、ダッドリーは近づいてからが勝負だ。
不意に。
シャーロックが薔薇を投げた。
3RDでは当たり判定があった薔薇も、今はない。
ただの挑発。
「舐めプレイだと!? 万死に値する!!」
瞳子怒りのサンダーボルト!
を、シャーロックが回避する、そしてそこは互いのこぶしが届く距離、ここが死地だ。
瞳子を、奇妙な感覚が襲った。
ダッストをジャンプでかわされ、飛びからのコンボをフルセット。
見てからジャンプできる筈もないのだが、何かが、おかしい。

弱キャラで勝つには、どうしたらよいのか?

普通にリスクリターンを詰めていけば、強キャラに勝つ事はない。
圧倒的な差を、何で覆す?
根本的な差を、何で埋める?

読みだ。

格闘ゲームでは、どんな弱キャラであろうと、もしも『相手の行動を完全に読める』なら、必ず勝つ事が出きる。

挑発による行動の誘導、読みによるジャンプ、下段と中段の揺さぶり。

気づけば瞳子は、シャーロックの手中に居た。

 「全てが……『読まれている』!!」

弱さを埋める嗅覚、世界最強の読み眼力。
1ラウンドをパーフェクトで破られ、瞳子はしかし、笑った。
ほっひひ、と。

「これが、弱キャラから強者への切符、という事ですわね」

そびえたつ究極の読み能力、シャーロックはただ、全ては予測の範囲、まこと低レベルで安定している、と言うように静かにたたずんでいる。




続く。

calendar
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< October 2017 >>
sponsored links
selected entries
categories
archives
recent comment
recent trackback
recommend
links
profile
search this site.
others
mobile
qrcode
powered
無料ブログ作成サービス JUGEM